標識の掲示義務Q&A

小関似顔絵2
「金融商品取引業者の標識掲示義務」についてのQ&Aです。

Q:標識は、どこに掲示すれば良いの?

A:
標識の設置場所、どこでも良いわけではなく、金融商品取引法上は、
  「公衆の見やすい場所」に掲げるようにと定められています。

「公衆の見やすい場所に」というのがポイントで、
来訪した顧客が見やすい場所に設置することが原則となります。

財務局に照会するとよく言われるのは、
「来社した顧客誰もがそれを目にするような所に掲げて下さい」。

実務上は、来社した顧客にとって見やすい事務所の出入口、受付カウンターの壁面、
応接室等に掲示する場合がほとんどです。

特定の顧客だけを案内するミーティングスペース等、
来社した顧客の中での行く人と行かない人と分かれる可能性がある場所に
掲げていたのでは不十分です。

 
Q:標識はどうやって作りますか?材質には指定がありますか?

A:
標識の大きさや記載事項は金融商品取引法の中で定められていますが、
標識の材質については、特に指定はありません。

標識の作成会社に外注するのも良いですし、手作りで自作してもOKです。

ただし、標識を掲示する趣旨からして、
顧客が見やすいような材質や文字の大きさ等を心がける必要があります。

最近では、法改正等で標識の記載内容に変更が生じることもふまえ、
法定事項を記載した紙を自作し、プラスチックや金の立派な額縁に入れて
掲示している会社も多いです。

ちなみに、最近…
投資運用業や投資助言・代理業者の所属する協会の名称が変更になった為、
当該協会に加入している金融商品取引業者の方は、
一斉に、標識を変更する必要に迫られました。
(旧:社団法人 日本証券投資顧問業協会→新:一般社団法人 日本投資顧問業協会)

標識の掲示義務

金融商品取引業者には、

金融商品取引業務を行う営業所又は事務所ごとに、
公衆の見やすい場所に、法定事項を備えた標識を掲示することが義務付けられています。
(金融商品取引法第36条の2)

┌──────────────────────────────────┐

〔金融商品取引法第36条の2〕

1項 金融商品取引業者等は、営業所または事務所ごとに、
公衆の見やすい場所に内閣府令で定める様式の標識を掲示しなければならない。

2項 金融商品取引業者等以外の者は、前項の標識またはこれに類似する標識を
掲示してはならない。

└──────────────────────────────────┘

◇「営業所または事業所ごと」とは?

標識の掲示義務がある「営業所または事業所」とは、
金融商品取引業を行う為の全ての施設を言います。

有人・無人を問わず、顧客の来訪が予定されていないところでも
標識を掲げなければいけないので、注意が必要です。

ただし、金融商品取引業と無関係な施設については不要です。

例えば、金融商品取引業者が他に宅建業や不動産業を行っている場合などで、
当該他の事業を行う為の施設に金融商品取引業者としての標識掲示義務はありません。

 

◇「内閣府令で定める様式」とは…

内閣府令の中で「別紙様式第十号」と定められています。
「別紙様式第十号」(画像)を添付するので、ご参照下さい。

標識「別紙様式第十号」

縦横のサイズが規定されています。
無人の営業所に掲げる標識は、有人の場合に比べてかなり小さい標識で良いんですね。

また、先日の法改正で新設された「適格投資家向け投資運用業者」の場合は、
「投資運用業」ではなく、「適格投資家向け投資運用業」と表示をする必要がありますので、
ご注意ください。